舌神経腫瘤を初発症状とした舌下腺原発腺様嚢胞癌の1例

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タイトル別名
  • Adenoid cystic carcinoma of the sublingual gland: a unique case associated with mass formation in the lingual nerve as an incipient symptom

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抄録

症例は70歳代の女性で,左下臼歯部口底の腫瘤と疼痛の精査依頼にて当科初診となった。左下第一大臼歯相当部の舌側歯肉から口底に移行する粘膜下に30×8mm大の下顎枝方向へ伸展する細長い圧痛著明な弾性硬の可動性腫瘤を触知した。9年前ほぼ同部位の舌神経に腫瘤がみられた際に近病院歯科で生検が行われたが,当時の病理組織学的診断は神経線維腫であったという。口底腫瘍疑いの臨床診断のもと腫瘤の切除術を施行したところ,肉眼的には舌神経の一部が結節状に膨隆しており,病理組織検査により腺様嚢胞癌と診断された。断端陽性であったため,さらに口底腫瘍切除術および左側肩甲舌骨筋上頸部郭清術を施行し,臨床所見および病理組織学的検索の結果から最終的には比較的まれな舌下腺原発例と考えられた。当初9年前の腫瘤とは別個の病変と考えられたが,既往標本を入手し,再検討を行った結果,今回の腺様嚢胞癌と同一の病変と判断され,よって腫瘍の浸潤により舌神経に形成された腫瘤が本例の初発症状であったと考えられた。

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