学童期に蛋白尿を指摘された超低出生体重児の1例

  • 中田 麻子
    大阪府立母子保健総合医療センター腎・代謝科
  • 山藤 陽子
    大阪府立母子保健総合医療センター腎・代謝科
  • 里村 憲一
    大阪府立母子保健総合医療センター腎・代謝科

書誌事項

タイトル別名
  • A case with proteinuria born at extremely-low birth weight in childhood

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抄録

今回われわれは,超低出生体重児が学校検尿にて蛋白尿を指摘された症例を経験したので報告する。<br> 症例は9歳女児。在胎25週,出生体重624g,品体の第三子として出生。就学時健診にて蛋白尿をはじめて指摘された。9歳時に行った腎生検では細胞増殖や硬化病変は認めなかったが,糸球体面積が同年齢のそれに比較して増加していた。近年,低出生体重児が成人期に高血圧,耐糖能異常,脂質代謝異常,腎不全などさまざまな成人病を合併することは広く知られるようになった。本症例においては超低出生体重児として出生したため,ネフロン形成過程の停止に伴う糸球体数の減少により,糸球体高血圧や過ろ過が起こり,小児期早期から蛋白尿を呈したと考えられる。急速な医療技術の発展に伴い,超低出生体重児からの生存者が増加傾向にある現在,同様の症例は今後増加することが予想される。わが国では広く学校検尿が行われているが,低出生体重児が学校検尿で異常を認めた場合,軽度の蛋白尿であっても上記の病態を疑って対応し,早期からの介入・治療が必要と思われる。

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参考文献 (11)*注記

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