多胎児をもつ母親の不安状態と関連要因についての検討 単胎児の母親との比較分析から

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タイトル別名
  • Anxiety and associated factors in mothers of twins or triplets as compared with mothers of singleton children
  • タタイジ オ モツ ハハオヤ ノ フアン ジョウタイ ト カンレン ヨウイン ニ ツイテ ノ ケントウ タンタイジ ノ ハハオヤ トノ ヒカク ブンセキ カラ

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抄録

目的 本研究では,3 歳以下の多胎児をもつ母親の不安状態を単胎児の母親との比較から分析し,それらに関連する要因について検討した。<br/>方法 調査期間は,2005年 2 月から2006年 4 月である。対象者は,A 市の 4 か月児健康診査を受診し,調査時点で 3 歳以下の多胎児をもつ母親224人に自記式質問紙を郵送し,130人から回答を得た(回収率58.0%)。なお,比較対照群として,同健診を受診した単胎児の母親から無作為抽出した3,000人に自記式質問紙を郵送し,1,656人から回答を得た(回収率55.2%)。このうち,調査時点で 3 歳以下の児をもつ母親860人を本研究の比較対照群とした。母親の不安の程度は日本版 STAI の状態不安および特性不安を用いて測定した。分析に使用したデータは,主観的不安の程度として,妊娠中の不安,今後の育児に対する不安を用い,育児背景要因として,妊娠中の育児に対するイメージ,母親の体調,睡眠状態,ストレス解消法の有無,育児サークルの参加状況,育児協力者の有無等のデータを用いた。<br/>結果 多胎児の母親では,STAI の状態不安において「高不安」と判定された者の比率が単胎児の母親に比べ有意に高かった。一方,特性不安は単胎児の母親と多胎児の母親では有意な差異は認められなかった。また,多胎児の母親は単胎児の母親に比べ,妊娠中不安を感じた者,ならびにストレス解消法がない者の比率が有意に高かった。ロジスティック回帰分析の結果,状態不安の「高不安」には多胎児であること自体は関連しておらず,妊娠中不安を感じたこと,今後の育児に対して不安があること,母親の体調不良ならびに睡眠不足を強く感じていること,ストレス解消法がないこと,同胞がいることが関連していた。<br/>結論 多胎児の母親は単胎児の母親に比べ,不安を抱きやすい状況であることが示された。また,多胎児であること自体が母親の不安を増強させるのではなく,母親を取巻く育児環境に問題があることが明らかとなった。3 歳以下の多胎児をもつ母親の不安を軽減するためには,妊娠中からのサポート体制を整備し,ストレス解消法の提示をはじめ,母親の身体的な負担を軽減するための具体的なサービスの提供の必要性が示唆された。

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参考文献 (32)*注記

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