花粉による琵琶湖など長期スケールの湖沼堆積物からの古気候復元の現状と課題

書誌事項

タイトル別名
  • Present status of pollen-based palaeoclimate reconstruction from Lake Biwa sediment
  • カフン ニ ヨル ビワコ ナド チョウキ スケール ノ コショウ タイセキブツ カラ ノ コ キコウ フクゲン ノ ゲンジョウ ト カダイ

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抄録

日本列島で数十万年の時間尺度をもつ湖沼堆積物はいくつかあるが,連続性と編年確度に優れた地点は今のところ琵琶湖である.その上部粘土層から得られた花粉データは過去43万年を包含しているが,常緑広葉樹の多産はMIS 1とMIS 11に限られ,間氷期の指標としては使いにくい.この原因は冬季気温が間氷期ごとに異なることによると思われる.氷期と(亜)間氷期の指標としては,むしろ亜寒帯性針葉樹と温帯性針葉樹が好適であり,両者の花粉比をとると万年スケールで海洋酸素同位体比曲線とよく合うことから,中期更新世の湖沼堆積物に対する編年手段として期待される.花粉がもつ長期スケールの古気候情報を取り出す手段としては,モダンアナログ法(MAT)が有望である.絶滅種の影響は1 Ma以降であれば比較的小さい.数十万年スケールのMAT法の適用例である琵琶湖の結果を,初学者向けに概説した.また,花粉に基づく長期スケールの古気候復元法に関する現状の課題および解決案を示した.

収録刊行物

  • 第四紀研究

    第四紀研究 49 (3), 133-146, 2010

    日本第四紀学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (85)*注記

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