アンジオポエチン‐1による血管安定化メカニズム

  • 福原 茂朋
    国立循環器病研究センター研究所 細胞生物学部
  • 望月 直樹
    国立循環器病研究センター研究所 細胞生物学部

書誌事項

タイトル別名
  • Vascular stabilization by angiopoietin-1
  • アンジオポエチン-1による血管安定化メカニズム
  • アンジオポエチン 1 ニ ヨル ケッカン アンテイカ メカニズム

この論文をさがす

抄録

アンジオポエチン–1(Ang1)は,血管内皮細胞に発現するTie2受容体を介して,血管構造の安定化と血管新生の相反する機能を制御している.Ang1-Tie2シグナルは内皮細胞間接着によって空間的,機能的に制御されている.細胞間接着を有する内皮細胞において,Ang1はTie2のトランス結合を形成し血管安定化シグナルを活性化する.一方,細胞間接着を持たない内皮細胞では,Ang1はTie2を細胞—基質接着部位にターゲットすることで,血管新生シグナルを惹起する.細胞間接着部位でトランス結合したTie2は,Akt経路を介して,内皮細胞の生存促進作用および抗炎症作用を発揮すると共に,内皮細胞間接着を増強することで,血管構造の安定化に寄与している.血管の不安定化は,様々な疾患の発症と密接に関連しているが,最近Ang1-Tie2シグナルの血管安定化作用を,これら疾患の治療法開発に応用しようとする試みがなされている.

収録刊行物

参考文献 (57)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ