皮膚および皮下脂肪組織に生じた顆粒細胞腫(Granular cell tumor)の臨床および病理組織学的検討

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タイトル別名
  • A Clinicopathological Analysis of Granular Cell Tumor in the Dermis and Subcutaneous Fatty Tissue
  • ヒフ オヨビ ヒカ シボウ ソシキ ニ ショウジタ カリュウ サイボウ シュ Granular cell tumor ノ リンショウ オヨビ ビョウリ ソシキガクテキ ケントウ

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抄録

札幌皮膚病理研究所で過去7年半の間に顆粒細胞腫(以下GCT)と病理診断した73症例(74病変)について臨床事項を検討し,さらにそのうち標本の再検討が可能であった29病変のGCTについて病理組織学的事項の検討を行った.病理診断依頼書をもとに検討した臨床事項では,切除時の平均年齢は45.4歳で男性23例,女性50例と女性に多かった.切除部位は,躯幹が最多であった.臨床診断にて,顆粒細胞腫と診断された症例はなかった.臨床事項の検討結果は既存の報告とほぼ同様の傾向であった.切除標本のHE染色標本を用いて検討した病理組織学的事項では,病変は真皮から皮下脂肪組織にかけて(66%),もしくは皮下脂肪組織(34%)に存在していた.これらには周囲との境界が比較的明瞭な結節状の病変,辺縁で腫瘍細胞が散在し境界が不明瞭な病変,両所見をもち境界が明瞭な部位と不明瞭な部位がある病変があり,その割合はほぼ同様であった.表皮を観察できた23病変のうち,17病変(74%)で表皮肥厚を伴っていた.そのうち3病変(18%)で偽癌性表皮肥厚が観察でき,成書やいままでに報告されているようにGCTの随伴所見として表皮肥厚があることが確認できた.8病変(28%)では,病変内に結節状のリンパ球浸潤が観察された.14病変(48%)で既存の正常末梢神経周囲に腫瘍細胞が分布する神経好性の所見が確認でき,Schwann細胞に観察できる核内偽封入体の所見が24病変(83%)で確認できた.これらの所見は,GCTが神経細胞分化を示す腫瘍であることを支持する所見であると考えた.

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