脾臓の凝固壊死を契機に発見された膵尾部癌の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A CASE OF PANCREATIC TAIL CARCINOMA WITH BASOPHILIC DEGENERATION OF A PART OF THE SPLEEN

この論文をさがす

抄録

症例は65歳の女性で,左上腹部痛を主訴に近医を受診.諸検査にて異常は認められないとされたが症状改善はなく,1カ月後よりspike feverが出現,精査加療目的に当院紹介となった.US,CT,MRIにて膵尾部に接する脾嚢胞性病変様の所見を認めた.膵癌,もしくは膵炎に起因したもの,あるいは脾原発の悪性リンパ腫などが鑑別にあげられた.開腹所見では膵尾部に脾臓,腎臓,結腸間膜に浸潤している腫瘤を認め,膵癌と診断し左腎臓,左副腎の合併切除を伴う膵体尾部切除術を施行した.術後病理組織学的診断では膵尾部癌の脾臓浸潤と脾臓の膵酵素暴露による好塩基性変化を認めた.膵疾患による脾合併症は比較的まれであり,膵尾部癌の脾浸潤による脾臓の凝固壊死は検索した限りでは報告例がなく,極めてまれであると考えられる.脾臓の部分的凝固壊死を契機に発見された膵尾部癌について文献的考察を加え報告する.

収録刊行物

参考文献 (33)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ