片側病変にて両側性下転障害を主症状とした中脳梗塞の1例

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タイトル別名
  • A case of midbrain infarction with selective bilateral downward gaze palsy

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抄録

症例は66歳女性.他院にて経動脈的冠動脈形成術が施行され,特変なく終了したが術後1時間から右眼瞼下垂,めまいが出現したため当院を紹介され入院した.入院時意識清明,脳神経系では右眼瞼下垂を認めたが瞳孔に左右差はなかった.眼球運動は,両眼とも水平方向と上転は保たれていたが,下転障害と輻輳障害を認めた.深部反射・運動系・感覚系に異常はなかった.協調運動では,右上肢で指鼻指試験が拙劣で,両膝踵試験は軽度拙劣であった.入院時の頭部MRI水平断上では明らかな異常を認めなかったが,脳幹梗塞を疑い抗血小板・脳保護療法を行った.第2病日に頭部MRIを冠状断にて再検査したところ,左中脳水道腹側に小梗塞を認め,中脳梗塞と診断した.片側性障害でも両側性下方注視障害を呈する可能性があり,眼球運動に関する病態を理解するうえで貴重な症例と考えられた.

収録刊行物

  • 脳卒中

    脳卒中 31 (5), 317-321, 2009

    一般社団法人 日本脳卒中学会

参考文献 (23)*注記

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