両側性口唇口蓋裂を伴った先天性絞扼輪症候群の1例

  • 小田 陽平
    新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生命科学専攻顎顔面再建学講座組織再建口腔外科学分野
  • 芳澤 享子
    新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生命科学専攻顎顔面再建学講座組織再建口腔外科学分野
  • 小林 正治
    新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生命科学専攻顎顔面再建学講座組織再建口腔外科学分野
  • 泉 直也
    新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生命科学専攻顎顔面再建学講座組織再建口腔外科学分野
  • 齊藤 力
    新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生命科学専攻顎顔面再建学講座組織再建口腔外科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Constriction Band Anomalies with Bilateral Cleft Lip and Palate

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抄録

先天性絞扼輪症候群は,四肢を中心とする体表面に,環状絞扼から組織欠損にいたる一連の病態を生じる症候群である。今回われわれは両側性口唇口蓋裂を伴った先天性絞扼輪症候群の症例を経験した。<br>患者は出生時より上下肢の変形および欠損があり先天性絞扼輪症候群と診断され,同時に口唇口蓋裂も認められた。右側下腿は壊死のため切除され,生後1か月目に当科を初診した。生後2か月時にHotz床を装着し,左手の付着瘢痕様組織を切除した。5か月時に右側口唇形成術,9か月時に左側口唇形成術を施行し,同時に右側下腿の断端形成術を施行した。1歳1か月時に左手指の分離形成術を施行,1歳5か月時に口蓋形成術を施行した。8歳3か月時に両側顎裂部へ新鮮自家腸骨海綿骨細片移植を施行,再度右下腿断端形成術を行った。12歳時より歯科矯正治療を開始し,18歳の現在まで矯正治療を行っている。<br>絞扼輪症候群の発生原因に関しては,胎生早期に生じた羊膜破裂が発端となり,剥離した羊膜が索状に胎児体表に絡みつくことによって様々な破壊性病変をきたす,羊膜破裂シークエンスの部分症状とするものであるといわれている。今回われわれは絞扼輪症候群と口唇口蓋裂との関連性について,その病因より検討したが,羊膜破裂による索状物の形成が,口唇ないしは口蓋の癒合を阻害するように影響した可能性が考えられた。

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参考文献 (28)*注記

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