有床義歯補綴治療前後における咀嚼運動経路のパターンと安定性

書誌事項

タイトル別名
  • Masticatory Path Patterns and Stability before and after Denture Treatment

この論文をさがす

抄録

有床義歯装着患者の咀嚼機能を評価する目的で,有床義歯装着患者の咀嚼運動経路のパターンと安定性を分析した.<br> 有床義歯装着患者12名にグミゼリーを主咀嚼側で20秒間咀嚼させた時の下顎切歯点の運動をMKGK-6Iで記録した.分析は,はじめに全被験者の咀嚼開始後の第5から第14までの10サイクルについて,運動経路の重ね合わせと平均経路の表示を行い,下顎切歯点の運動経路のパターンを7種類に分類後,各パターンの発現数を調べ,治療前後間で比較した.次いで,運動経路の安定性を表す3指標,すなわち開口時側方成分,閉口時側方成分,垂直成分の各SD/OD(標準偏差/開口量)を算出し,治療前と治療後との間で比較した.<br> 咀嚼運動経路は,治療前では,種々のパターンを呈していたが,治療後では,ほとんどの被験者が健常有歯顎者の代表パターンを呈し,治療前後間に有意差が認められた.開口時側方成分,閉口時側方成分,垂直成分の各SD/ODは,いずれも治療後のほうが治療前よりも小さくなる傾向を示し,治療前後間に有意差が認められた.<br> これらのことから,有床義歯装着患者の咀嚼機能は,歯科補綴治療により改善すること,また運動経路の安定性とパターンの分析による咀嚼機能の評価が応用できることが示唆された.

収録刊行物

被引用文献 (2)*注記

もっと見る

参考文献 (39)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ