ジャガイモ疫病の発生に及ぼす亜リン酸肥料の効果

  • 仲川 晃生
    農業・食品産業技術総合研究機構・中央農業総合研究センター
  • 越智 直
    農業・食品産業技術総合研究機構・中央農業総合研究センター
  • 清水 繁夫
    日本医薬品開発研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of Phosphite Fertilizer on the Incidence of Potato Late Blight Caused by <i>Phytophthora infestans</i>
  • ジャガイモ エキビョウ ノ ハッセイ ニ オヨボス アリンサン ヒリョウ ノ コウカ

この論文をさがす

抄録

亜リン酸液肥(ホスプラス:大塚化学製液肥,アリンサンデス2号:日本医薬品開発研究所製液肥)を使い,ジャガイモ疫病に対する防除効果について試験した。各液肥を250倍,500倍および1000倍の3濃度に希釈し,疫病初発前から1週間毎に合計4回(各200L/10a)散布して最終散布7日後に発病程度を調べた。この結果,2008年春作試験では,多発生条件の中においても両液肥250倍液散布区の防除価はそれぞれ66.9, 77.9を示し,対照としたマンゼブ・メタラキシル剤の防除価92.3には劣るものの,有効性が認められた。防除効果は希釈倍数が高まるにつれて低下し,このことは2009年春作でも同様であった。一方,植付時の1回処理を目的に,粉末資材化した亜リン酸肥料(亜リン酸10%および20%含量,日本医薬品開発研究所試作)を250kg/10aの割合で植溝施用した。この結果,甚発生条件下の2009 年春作では両濃度とも効果は低かったが,中発生となった同年秋作試験では,マンゼブ・メタラキシル剤の防除価が79.6であったのに対し,10%粉末資材では94.8, 20%粉末資材では97.1となり,ジャガイモ疫病に対する防除効果が認められた。しかし,亜リン酸肥料処理は,ジャガイモの生育や収量を抑制する傾向を示し,特に粉末肥料の植え付時処理で顕著に現れた。このため,今後は生育抑制等の軽減のため,有効な処理量や回数および適正品種や密植等の栽培法について検討が必要である。

収録刊行物

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

参考文献 (7)*注記

もっと見る

詳細情報

問題の指摘

ページトップへ