mRNA分解研究と創薬

  • 尾上 耕一
    名古屋市立大学 大学院 薬学研究科 遺伝情報学分野
  • 星野 真一
    名古屋市立大学 大学院 薬学研究科 遺伝情報学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Research on mRNA degradation and drug discovery
  • mRNA ブンカイ ケンキュウ ト ソウヤク

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抄録

通常のmRNA分解は3’末端ポリ(A)鎖の短縮化が第1段階であり,翻訳終結と共役して開始される.一方,ナンセンス変異を有する異常mRNAは,NMDと呼ばれるmRNA分解機構により正常なmRNAとは別経路を介して即座に分解される.NMDはナンセンス変異に起因する異常な短鎖タンパク質の生成を防ぐ防御機構として重要であるが,mRNAの急速な分解に伴う機能性タンパク質の欠如により致死的な疾患の原因となることがある.そのような疾患の治療薬として,最近PTC Therapeutics社において開発されたAtalurenが注目されている.Atalurenはナンセンス変異の結果生じた異常な終止コドンの読み飛ばしを引き起こし,機能性タンパク質の産生を可能にする.現在,臨床試験の段階にあるAtalurenだが,有効性,安全性ともに優れておりナンセンス変異に起因する多くの疾患への適応の拡大が期待される.

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 136 (3), 150-154, 2010

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (68)*注記

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