鈍的頭頸部血管損傷に対する3DCTAによるスクリーニングの有用性と問題点

  • 田崎 修
    大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター
  • 吉矢 和久
    大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター
  • 塩崎 忠彦
    大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター
  • 鵜飼 勲
    大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター
  • 杉本 壽
    大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター
  • 藤中 俊之
    大阪大学医学部附属病院脳神経外科
  • 東 丈雄
    大阪大学医学部附属病院医療技術部放射線部門

書誌事項

タイトル別名
  • Accuracy of screening for blunt cerebrovascular injury by multidetector computed tomographic angiography

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抄録

背景と目的:頭頸部血管損傷は時に重篤な合併症を引き起こすため,早期発見の重要性が認識されつつある。画像解析ソフトの進歩により,3DCT Angiography(CTA)の診断能は著しく向上したが,頭頸部血管損傷のスクリーニング検査としての精度については十分検討されていない。本研究の目的は,CTAの有用性と問題点を検討することである。対象と方法:対象は2001年から2007年までに入院となった鈍的頭頸部外傷のうち,CTAを施行した233例。スクリーニング基準は,重症頭部外傷(SHI),頭蓋底骨折(BFX),顔面骨骨折(FFX),頸椎/頸髄損傷/頸部軟部組織損傷(CI),CTで説明できない神経学的異常,内因性血管病変を疑うくも膜下出血,静脈洞損傷を疑う骨折とした。CTAで血管損傷が疑われた(陽性)例には脳血管撮影を施行した。また,CTAで異常が認められなかった(陰性)例は, 6 か月以降に血管損傷に起因する合併症の有無を追跡調査した。結果:CTA陽性例は23例(27病変)であり,このうち病変を確定したのは18例(21病変)であった(陽性的中率77.8/%(21/27))。血管撮影では血管病変を25病変確認した。このうち, 4 病変(動静脈瘻 3,椎骨動脈内膜損傷 1)はCTAでは検出できなかった。スクリーニング基準毎の損傷頻度は,FFX 14.0%(7/50),SHI 11.9%(8/67),CI 11.8%(6/51),BFX 10.2%(9/88)で高値であった。CTA陰性例は210例で,追跡調査が可能であったのは132例であったが,脳血管障害を起こした症例はなかった。結論:CTAは頭頸部血管損傷のスクリーニング検査として有用である。しかし,軽度の動静脈瘻及び椎骨動脈病変の検出は今後の課題である。

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参考文献 (18)*注記

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