産卵鶏における尿管クリプトスポリジウム症

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タイトル別名
  • サンランケイ ニ オケル ニョウカン クリプトスポリジウムショウ

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抄録

脂肪肝症候群を伴いやや高死亡率を示す同一産卵鶏群より11羽(A群:5羽210日齢、B群:6羽259日齢)および低死亡率を示す別産卵鶏群より5羽(C群:188日齢)を病理学的に検索した。尿管(3例)、総排泄腔(7例)、盲腸(1例)および卵管(3例)の粘膜上皮細胞表面にクリプトスポリジウムの寄生が認められた。尿管クリプトスポリジウム症の3羽では、粘膜固有層における高度のリンパ球および形質細胞浸潤、尿管拡張および粘膜上皮細胞の腫大・増生が認められた。B鶏群の1例は尿石症を発症していたが、尿管粘膜上皮細胞にクリプトスポリジウムの寄生はみられなかった。寄生のみられなかった鶏でも上述と同様の組織学的所見が得られたが、クリプトスポリジウムの感染は認められなかった。野外例の糞便より分離されたクリプトスポリジウムのオーシストを15羽のspecific-pahogen-free (SPF)鶏幼雛に経口接種した実験において、総排泄腔(2例)およびファブリキウス嚢(7例)の粘膜上皮細胞表面にクリプトスポリジウムの寄生が認められたが、尿管における寄生は再現されなかった。野外例群糞便より13×10(3)個/g、実験群の糞便より4-12×10(3)個/gのオーシストがショ糖遠心浮遊法(比重1.2)により検出された。寄生がみられた尿管、総排泄腔およびファブリキウス嚢を走査型電子顕微鏡により観察したところ、それぞれの粘膜面に、寄生体胞に包まれたクリプトスポリジウムの球状虫体およびメロゾイトあるいはスポロゾイトが多数認められた。

収録刊行物

  • 鶏病研究会報

    鶏病研究会報 41 (2), 81-88, 2005-08

    つくば : 鶏病研究会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (18)*注記

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