自作透明フードを装着した気管支鏡により摘出できた気道異物の1例

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  • Endoscopic removal of a long tracheobronchial foreign body using a handmade hood: a case report

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抄録

背景:気道異物は,一般に気管支鏡に鉗子や吸引を併用して摘出が行われるが,摘出に難渋することも多い。また,軟らかい異物の場合は,把持鉗子やバスケット鉗子では異物を剪断もしくは破砕してしまうため,気道閉塞や無気肺,肺炎といった呼吸器合併症を起こす可能性がある。食事摂取中に生じた気道異物を自作透明フードを用いて一括摘除し得た症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。症例:パーキンソン病の既往がある64歳の女性で,嚥下障害により食事中の誤嚥を頻繁に起こしていた。自宅でうどんを摂食中にむせ込み,その後も 1 時間近く咳嗽が続くため救急要請した。来院時のバイタルサインは,GCS15 (E4V5M6),呼吸数30/分,心拍数66/分,血圧106/71 mmHg,酸素飽和度96%(6Lマスク)であった。口腔内に異物を認めなかったが右下肺野に吸気時優位のラ音を聴取した。その他,身体所見上明らかな異常を認めなかった。胸部単純X線像では異常所見を認めなかったが,胸部CT検査で気管から右外側肺底枝に0.5 cm直径 × 10 cm長のiso density areaを認め,気道異物が疑われた。 8 mm気管内チューブで気管挿管後,気管支鏡により気管から右気管支の末梢にかけて位置する気道内異物を確認した。現病歴と合わせ,うどんによる気道異物と診断した。気管支鏡および細径喉頭ファイバーでの吸引や,バスケット鉗子による除去を試みたが,異物を摘出できなかった。そこで,消化管内視鏡検査で用いる透明フードのように,吸引カテーテルを10 mm長の管状に切断したものを気管支鏡先端に装着し,異物の片端を吸引しながら気管支鏡を抜去することにより,異物を摘出できた。結語:気道異物の診断において,胸部単純X線像には異常所見を認めなかったが,胸部CT検査により確定診断に至った。うどんによる気道異物は,自作透明フードを使用することにより容易に一括除去することが可能となった。

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参考文献 (24)*注記

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