成人アトピー性皮膚炎の頸部網状色素沈着の臨床的特徴とQ-スイッチルビーレーザーによる治療経験

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タイトル別名
  • Clinical Features of Reticulate Pigmentation of the Neck in Adult Patients with Atopic Dermatitis; Treatment with Q-switched Ruby Laser
  • セイジン アトピーセイ ヒフエン ノ ケイブ モウジョウ シキソ チンチャク ノ リンショウテキ トクチョウ ト Q スイッチルビーレーザー ニ ヨル チリョウ ケイケン

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抄録

成人アトピー性皮膚炎患者108名を対象として頸部網状色素沈着の有無を調査した.頸部網状色素沈着を持つ者は26名(24.1%)であった.色素沈着合併群と非合併群を比較したところ,アトピー性皮膚炎の発症年齢,罹病期間に有意差はなかったが,皮疹の重症度と血清IgE値が色素沈着合併群で有意に高かった.喘息の合併は色素沈着合併群で有意に多かったが,アレルギー性鼻炎の合併率には有意な差はなかった.以上より頸部網状色素沈着の発症には,罹病期間の長さよりも皮疹の重症度がより強く関係していると思われた.皮膚の病理組織では真皮上層にメラニンの滴落像と血管周囲性炎症性細胞浸潤がみられ,従来の報告と同様であった.頸部網状色素沈着の治療として10例にQ-スイッチルビーレーザー照射を行い,全例に有効であった.最長で2年10カ月の経過観察期間中に色素沈着が再燃した例はなかった.レーザー治療は効果が確実で効果発現までの時間が短いという利点があるが,非照射部との色調差が目立ってしまうなどの問題点もあるため,頸部網状色素沈着の治療として第一選択となる治療ではない.まず皮膚炎を沈静化させるための標準治療を行い,それでもなお比較的小範囲に強い色素沈着が残存するような症例が適応となると思われた.

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参考文献 (15)*注記

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