当科における上咽頭癌症例の検討

  • 佐藤 克郎
    新潟大学大学院医歯学系頭頸部外科 新潟大学医歯学総合病院耳鼻咽喉科
  • 富田 雅彦
    新潟大学大学院医歯学系耳鼻咽喉科 新潟大学医歯学総合病院耳鼻咽喉科
  • 松山 洋
    新潟大学医歯学総合病院耳鼻咽喉科
  • 高橋 姿
    新潟大学大学院医歯学系耳鼻咽喉科 新潟大学医歯学総合病院耳鼻咽喉科

書誌事項

タイトル別名
  • Clinical analysis of cases with nasopharyngeal carcinoma

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抄録

1991年~2007年の17年間に当科で加療した上咽頭癌41症例につき臨床的に検討した。年齢は平均53歳,男女比は3.6対1であった。主訴は耳症状が最も多く,頸部腫脹,視器症状,鼻症状が続いた。病理組織型は,扁平上皮癌が大多数を占め,次いで未分化癌,腺癌,紡錘細胞癌の順であった。病期は IV期が過半数を占めていた。治療は,扁平上皮癌,未分化癌,紡錘細胞癌に対しては白金製剤と5-FUを用いた化学放射線同時併用療法の後に補助化学療法を追加した。腺癌に対しては,経口蓋的に切除した後,術後照射を施行した。全体の粗5年生存率は64.1%で,疾患特異的5年生存率は71.2%であった。I期とII期の早期群とIII期とIV期の進行群,および症例数の多いIV期と,I,II,III期の合計を比較したが予後の有意差を認めなかった。再発は24.4%に認められ,再発部位は局所よりも遠隔転移が多かった。上咽頭癌の診断と治療においては,多彩な症状から上咽頭癌を的確に診断し,扁平上皮癌症例においては白金製剤を中心とした化学療法と放射線治療を積極的に行うことが重要と思われた。

収録刊行物

  • 頭頸部癌

    頭頸部癌 36 (1), 53-56, 2010

    日本頭頸部癌学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (27)*注記

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