卵巣境界悪性明細胞腫瘍における腫瘍割面捺印細胞診の有用性

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  • A case of borderline clear cell adenofibroma

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抄録

背景 : 卵巣明細胞腫瘍において, 境界悪性例の報告はまれであるが, 腺線維腫に合併することが知られている. 今回, われわれは術前には悪性を強く疑いえなかった borderline clear cell adenofibroma の 1 例を経験したので報告する.<br>症例 : 72 歳, 0 経妊 0 経産. 検診において腹部腫瘤を指摘され当院を紹介受診された. 子宮頸部細胞診および子宮内膜細胞診は異常所見を認めなかった. 腫瘍マーカーは CA125 が 192 U/ml と高値を示していた. MRI 検査所見では右卵巣に充実性腫瘤を認め, T2 強調画像では低信号を示した. 手術により摘出された右卵巣腫瘍は黄白色の充実性腫瘍であり一部にスポンジ状の部分を認めた. 腫瘍割面捺印細胞診像は, 比較的きれいな背景の中に, N/C 比が増大し, クロマチンが増量した異型細胞が散在していた. 病理組織診断は, borderline clear cell adenofibroma であった.<br>結論 : 良性の腺線維腫を想定した腫瘍割面捺印細胞診にて異型細胞を認めた. 腫瘍割面捺印細胞診は卵巣境界悪性明細胞腫瘍の診断の一助になると考えられた.

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