多発性肺内嚢胞性リンパ管腫の1例

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タイトル別名
  • A case of intrapulmonary cystic lymphangioma

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抄録

症例は66歳,女性.人間ドックの胸部CTで左肺上葉S4に2個の結節を指摘され,精査のために当科を受診した.結節は大きさが13×8mm,10×5mm,辺縁は整で内部は均一であった.7年前の胸部CTでも同結節を認めたが,比較すると増大傾向にあるため,悪性腫瘍を考慮して胸腔鏡下切除術を施行した.同結節は黄色の液体を含む嚢胞性腫瘤であり,病理組織検査では嚢胞壁に悪性所見を認めなかった.免疫組織染色では第VIII因子関連抗原,CD31,CD34が陽性と血管内皮に類似した所見で,リンパ管マーカーのD2-40は陰性であった.嚢胞内容液の細胞診はリンパ球主体であり形態学的に肺内嚢胞性リンパ管腫と診断した.肺内嚢胞性リンパ管腫は極めて稀な疾患で報告例も少ない.特に自験例はリンパ管マーカーが陰性であるため典型例ではないが,これは胎生期のリンパ管に分化する以前の幼弱な内皮細胞が嚢胞性変化を来たしたものと考えた.

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参考文献 (36)*注記

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