慢性鼻閉に対するデイサージェリー―下鼻甲介粘膜焼灼術を中心に―

  • 竹野 幸夫
    広島大学大学院医歯薬総合研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • 第111回日本耳鼻咽喉科学会総会臨床セミナー 慢性鼻閉に対するデイサージェリー--下鼻甲介粘膜焼灼術を中心に
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抄録

鼻アレルギーを主因とした慢性鼻閉に対するデイサージェリー, 特に下鼻甲介粘膜焼灼術の適応と実際の方法, 臨床効果について概説した. 一般的に鼻アレルギーの手術法は, 1) 鼻腔の形態異常を矯正し通気性を改善させる鼻腔整復術, 2) 粘膜表層のアレルギー反応の場を変性させる変調手術, 3) 神経ネットワークを処理し過敏症状を軽減させる手術, などに分けられる. これらの中でも, 外来日帰り手術が可能であり侵襲が少ない2) の方法がまず選択されることが多い. その作用機序としては, 物理的な下鼻甲介容積の減少, 重層扁平上皮化生による抗原の上皮内への進入抑制, 鼻汁分泌の抑制, 固有層の瘢痕化による炎症細胞の集族抑制, 神経線維の変性による鼻過敏反応の抑制, などが挙げられる. 実際の治療手技において肝要となる点は, あくまで外来で行う低侵襲手術であることを認識し, 鼻中隔と腫脹している下鼻甲介の間に鼻吸呼時の空間の作成をあらかじめイメージすることと言える. 実際の臨床効果については, 諸施設の報告でも周術期から術後約2年にかけての有効率ではおおむね6割以上とされている. 5年以上の長期成績に関しても, くしゃみ>鼻汁>鼻閉の順で再燃する傾向は存在するが4割程度の有効率は期待できるものと思われる.

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