長期血液透析患者の肘部管症候群に対する内視鏡を用いた手術治療  ‐USE system‐

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タイトル別名
  • Endoscopic management for hemodialysis-related cubital tunnel syndrome patients using USE system
  • 長期血液透析患者の肘部管症候群に対する内視鏡を用いた手術治療--USE system
  • チョウキ ケツエキ トウセキ カンジャ ノ チュウブカン ショウコウグン ニ タイスル ナイシキョウ オ モチイタ シュジュツ チリョウ USE system
  • ―USE system―

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抄録

われわれは1995年より肘部管症候群に対する低侵襲手術として,Universal Subcutaneous Endoscope(USE)systemを用いた内視鏡手術を行っている.本術式の手術成績について調査した.臨床症状と尺骨神経伝導速度検査から肘部管症候群と診断し,内視鏡手術を行った長期血液透析患者118肘102症例を対象とした.手術は局所麻酔下で空気止血帯は用いず,外来日帰り手術で行った.肘部管部に1~3cmの皮膚切開を置き尺骨神経を直視下に展開,Osborne靭帯を直視下に切離し,USE systemを挿入,内視鏡で尺骨神経の観察を行い病変の範囲を決定し,神経周囲の筋膜等の軟部組織を切離した.神経内の血流再開と新たな絞扼部位が出現していないことを確認して手術を終了した.術後,日常生活動作制限は行わなかった.平均追跡期間は18か月,臨床症状の改善率および改善週数はそれぞれしびれ感74%,平均9週;痛覚87%,平均10週;触覚85%,平均10週であった.徒手筋力テストで一段階以上の改善例は小指外転筋筋力71%,平均4か月;第一背側骨間筋筋力72%,平均5か月であった.術前術後ともに神経伝導速度検査を行った72肘において,術前運動神経伝導速度測定可能な63肘のうち術後43肘で改善し,術前測定不能9肘のうち4肘が測定可能となった.経過観察期間中に再発例はなかった.術後出血による血腫形成を2肘で認めた.本術式の利点は除圧前後の神経病変が詳細に拡大観察できること,神経病変の存在する可能性がある範囲を肘部管の中枢と末梢各々10cmの範囲で評価し病変部位に応じた神経除圧が行えること,神経の全周性剥離や移動を行わないため術後固定が不要なことである.また空気止血帯を用いず局所麻酔で行えるため透析患者のシャント側でも施行可能である.今回の術後成績より低侵襲手術としての本術式は有用であると考えられる.

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