火山性微動を用いた火山体のS波反射断面の推定

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タイトル別名
  • S-wave Pseudo-Reflection Profiling in the edifice of active volcano from volcanic tremor
  • カザンセイ ビドウ オ モチイタ カザンタイ ノ Sハ ハンシャ ダンメン ノ スイテイ

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抄録

火山性微動観測記録に擬似反射記録法を適用して, S波反射断面を得る手法について報告する。本稿では阿蘇火山における高密度観測網で得られた火山性微動記録を使用した。火山性微動記録を擬似反射記録法解析に適用するにあたり, 次の項目に注意して解析を行った。1) 火山性微動記録を構成する地震波の種類の吟味, 2) 垂直入射波の強調, 3) 等価入射波形の経時変化の吟味である。1)に関して3成分観測記録による粒子軌跡解析を行い, 火山性微動記録の主要部ではS波が卓越することが示された。したがって, 火山性微動を用いて得られた擬似反射断面はS波反射断面に相当すると考えられる。また, 2)では相関窓の選定とともに隣接点とのトレースミキシングを採用して垂直入射波の選択性向上をはかった。3)では個々の火山性微動イベントに対する生の擬似反射断面は構造に対する入射波形の変異を強く反映しており, その影響を除去するためにはそれぞれのイベントの等価入射波形を用いたデコンボリューションが必要なことが示された。これらの注意点を反映したデータ処理を経て火山性微動観測記録から得られたS波擬似反射断面は, 人工地震から得られたP波擬似反射断面と整合的であることが示された。火山性微動の擬似反射記録法解析は, 通常の地震探査手法を適用しにくい火山地帯においてS 波反射断面を得る手法の一つになり得る。<br>

収録刊行物

  • 物理探査

    物理探査 63 (6), 467-484, 2010

    社団法人 物理探査学会

参考文献 (49)*注記

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