血栓溶解療法抵抗性にて亜急性期に肺動脈血栓摘除術を行った1手術例

書誌事項

タイトル別名
  • Surgical Treatment of Subacute Pulmonary Thromboembolism by Refractory Thrombolytic Therapy

この論文をさがす

抄録

症例は45歳,女性.2カ月前より労作時呼吸苦を自覚し,症状の増悪を認めたため救急受診となった.造影CT検査で右主肺動脈に巨大血栓を,さらに左肺動脈上葉枝にも血栓塞栓像を認め,抗凝固,血栓溶解療法を20日間行ったが,右主肺動脈血栓の退縮を認めず,低酸素血症(酸素吸入ネーザル3 L/minでSpO2 92~94%),肺高血圧症(平均肺動脈圧=42 mmHg)が遷延したため,発症3カ月後の亜急性期に人工心肺使用,心停止下に血栓摘除術を行った.術後は合併症なく,症状の著明な改善を認め,平均肺動脈圧は21 mmHgへと正常化した.血栓溶解療法に抵抗性を示し,亜急性期から慢性期への移行段階で手術を施行した比較的稀な症例であった.肺血栓塞栓症は薬物治療にて溶解せず,血栓が器質化した場合,その塞栓範囲や肺高血圧症の程度によってはQOLを著しく障害し,予後も不良となるため,本症例のごとく,亜急性期といえども手術療法は有用であると考えられた.

収録刊行物

参考文献 (15)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ