伊吹山頂上の残雪表面の雪氷藻類

書誌事項

タイトル別名
  • Snow algae at the summit of Mt. Ibuki, Shiga-Prefecture, Japan
  • イブキヤマ チョウジョウ ノ ザンセツ ヒョウメン ノ セッピョウ ソウルイ

この論文をさがす

抄録

雪氷藻類とは,雪や氷の表面で繁殖する光合成微生物である.2005 年から2010年にかけて, 滋賀県の伊吹山の山頂(標高1377 m) 付近の残雪で,雪氷藻類の調査を行った.藻類の大繁殖を示す赤雪や緑雪のような肉眼で見える着色雪はみられなかったが, 残雪表面から採取した積雪の顕微鏡観察の結果, 形態の異なる主に2 つのタイプの雪氷藻類細胞を確認した. この藻類は, 日本をふくめ世界各地で報告されているChloromonas nivalis に形態がほぼ一致し, 二つのタイプはこの種のそれぞれ発達段階の異なる休眠胞子と考えられる. 観測を行った各年4 月下旬の残雪には, ほぼすべてにこの藻類細胞が含まれていたことから, 毎年この時期に残雪上に現れるものと考えられる. 藻類バイオマスおよびクロロフィル量の測定の結果, それぞれ他の地域で報告されている赤雪等の着色雪と比べ低い値を示した.2007 年4 月に二回の調査を行った結果, この藻類の繁殖時期は, 3 月中旬から5 月上旬までの1ヶ月半の融雪期間のうち, 消雪直前のわずか1-2週間であることがわかった.

収録刊行物

  • 雪氷

    雪氷 73 (5), 271-279, 2011

    公益社団法人 日本雪氷学会

参考文献 (22)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ