顎堤検査における検査用スケールの臨床的有用性に関する研究

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  • A Study on the Clinical Utility of a Scale for Examination in Residual Ridge

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抄録

目的:無歯顎者の顎堤における簡便で客観的な評価方法の確立を目指し,当教室で検査用スケールを開発し模型上で有用性を明らかにしてきた.そこで今回,この検査用スケールの臨床的有用性を検討した.<br>方法:被験者は無歯顎者30名,評価者は被験者1名につき3名とし,主観的評価と検査用スケールを用いた評価を行った.評価部位は左右第一大臼歯相当部顎堤とし,両評価とも高さ3段階(高い,中間,低い),形態4段階(U型,中間,V型,平坦)で評価した.さらに,被験者の使用義歯粘膜面の印象面上でデジタル式ノギスを用いて顎堤高さ,形態を計測し客観的評価とした.主観的評価と検査用スケールを用いた評価それぞれの客観的評価との一致度を検討するため,カッパ値を算出し比較した.<br>結果:主観的評価と客観的評価の関係では,顎堤高さ,形態の両者において,一致度を表すカッパ値は低かった(顎堤高さ 上顎:0.35,下顎:0.53,顎堤形態 上顎:0.44,下顎:0.43).スケール評価と客観的評価の関係では,一致度は高かった(顎堤高さ 上顎:0.81,下顎:0.66,顎堤形態 上顎:0.88,下顎:0.72).<br>結論:無歯顎者の顎堤検査に関して,新たに開発し模型上で有用性が明らかとなった検査用スケールは,臨床においても客観的評価と良く一致していた.したがって検査用スケールの臨床的有用性が高いことが示唆された.

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