認知神経科学からみた広汎性発達障害の病態

  • 十一 元三
    京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻 臨床認知神経科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Psychopathologies of pervasive developmental disorder in the perspective of neurocognitive findings
  • ニンチ シンケイ カガク カラ ミタ コウハンセイ ハッタツ ショウガイ ノ ビョウタイ

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抄録

広汎性発達障害(PDD)に関する認知科学的・精神生理学的研究について展望した。精神生理学的研究に関しては,覚醒や注意について事象関連電位や自律神経活動の指標を用いて PDD 群に何らかの所見を見出した報告が多い。対人的注意については行動学的検査をもとに共同注意の低下を示す所見が得られている。脳機能画像を用いた研究からは,顔・表情や感情などの対人的処理と関連する領域を中心に所見が得られている。例えば,表情に対する扁桃体の低活動,顔に対する紡錘状回や上側頭回の賦活減少などが報告されている。さらに,対人的刺激に対し,ミラーニューロンにあたる下前頭回弁蓋部や眼窩部前頭前野の賦活減少もしばしば見出されている。聴覚刺激を用いた研究でも,主に対人的刺激に対する非定型的反応が報告されている。以上のように,PDD に関して非高次機能および対人的認知機能を中心に所見が集まりつつあると言える。

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参考文献 (35)*注記

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