豚における抗ウイルス剤による口蹄疫ウイルスの排泄抑制

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  • Inhibition of excretion of foot-and-mouth disease virus from foot-and-mouth disease virus-infected pigs by an anti-viral agent

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抄録

口蹄疫(FMD)はFMDウイルス(FMDV)により引き起こされる牛、豚、緬山羊及び多くの野生動物を含めた偶蹄類動物の伝染病であり、FMDV感染動物は発熱、口腔周囲や蹄等の水疱形成、流涎および跛行等の臨床症状を呈する。FMDは伝播力が強く、発症動物はその臨床症状により産業動物としての価値を著しく損なうのに加えて、FMD発生国は厳しい貿易上の制限を課せられるため、世界的に最も恐れられている家畜伝染病である。FMDVはピコルナウイルス科アフトウイルス属に分類され、血清学的にO、A、C、Asia1、SAT1、SAT2、SAT3の7種類の血清型に区別される。これらの血清型間においては、相互に感染防御が成立しないことに加えて、同じ血清型内においても抗原性に差が確認されており、その場合も同様に十分な感染防御は期待出来ない。そのため、継続的な流行ウイルス株の収集およびその抗原性状の解析は重要と考えられる。一方、豚がFMDVに感染した場合、その排泄量は牛の1000〜2000倍と報告されている。そのため、ワクチン非接種清浄国において、豚でFMDが発生した場合、大流行となる可能性が高い。事実、1997年の台湾や2001年の英国でのFMD発生時においては、発生国に甚大な被害を及ぼした。そのため、FMDV感染豚のウイルス排泄量を低減する方法を開発した場合、FMDの防圧に有用であると考えられる。その観点から我々は、FMDVに対して増殖阻害作用を示す抗ウイルス剤をin vitroの系で探索した。その結果、FMDVに対して増殖阻害作用を示すピラジンカルボキサミド誘導体T-1105を見出した。そこで本試験においては、ワクチンとは異なり即効性の期待される抗ウイルス剤を用いて、豚におけるFMDVの排泄を制御する目的で、T-1105のFMDV感染豚に対する有効性について検討したので報告する。

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