血清CEA高値を呈した門脈ガス血症を伴う壊死型虚血性腸炎の1例

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  • A Case of Gangrenous Ischemic Colitis with Hepatic Portal Venous Gas Accompanied by Elevated Serum CEA

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抄録

患者は28年前直腸癌にて低位前方切除術を施行された83歳,男性.突然の下腹部痛と嘔吐が出現し,救急外来を紹介受診した.左下腹部に圧痛,筋性防御,反跳痛を認め,血液検査所見でアミラーゼの上昇と軽度代謝性アシドーシスを認め,CEAは18.2ng/mlと上昇していた.また,腹部造影CT検査で門脈のガス像と左結腸壁の造影効果不良を認めた.以上より門脈ガス血症を呈した壊死型虚血性腸炎と診断し,緊急手術を施行した.開腹すると悪臭を伴う茶褐色の腹水を400ml認め,左結腸は壊死をきたしており,左結腸切除術,横行結腸人工肛門造設術を施行した.術直後にエンドトキシン吸着を施行.以後全身状態は安定し,術後36日目に退院した.病理所見では粘膜,粘膜下層の壊死を認めた.本症例は直腸癌手術による下腸間膜動脈の結紮に伴う血流量低下因子と便秘,浣腸による腸管内圧上昇因子が重複し,腸管壊死をきたし,その結果門脈ガス血症が生じた.その際にCEAに富む粘膜が壊死脱落し,血中にCEAが逸脱して高CEA血症を呈したと推察された.

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参考文献 (21)*注記

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