たこつぼ型心筋症を合併した重症一酸化炭素中毒の1例

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タイトル別名
  • A case of "ampulla cardiomyopathy (Tako-Tsubo cardiomyopathy)" with severe carbon-monoxide poisoned patient

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抄録

たこつぼ型心筋症は様々な要因により発症することが知られている。高濃度一酸化炭素暴露後に遅発性のたこつぼ型心筋症を合併し心不全に至った1例を経験したので報告する。症例は42歳,女性。練炭自殺による重症一酸化炭素中毒で搬送された。搬送時,血中carboxyhemoglobin濃度 25.2%と高く,心筋逸脱酵素も上昇していた。心電図,胸部X線では異常を認めなかった。直ちに高気圧酸素療法を施行した。第3病日,突然急性心不全による肺水腫が出現した。心電図では前胸部誘導で陰性T波,II,III,aVF 誘導でST軽度上昇を認めた。心臓超音波検査で冠灌流流域に一致しない心尖部壁運動高度低下とたこつぼ型心筋症に特徴的な心尖部のバルーン状変化を認めた。冠動脈造影CTでは冠動脈病変を認めず,たこつぼ型心筋症による心不全と診断した。第22病日,心機能は改善した。高濃度一酸化炭素暴露による心筋傷害には相対的心筋虚血のみならず,心筋への直接的心毒性によるものが報告されている。本症例では一酸化炭素による心筋傷害に加え,身体的・精神的ストレスが加わったことでたこつぼ型心筋症を発症し心不全に至ったと考えられた。重症一酸化炭素中毒症例では,入院時の心機能障害の有無にかかわらず慎重な循環・呼吸モニタリングが必要と考えられた。

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