房総半島南部におけるツツガムシ病の血清学的疫学調査

  • 田中 研三
    医療法人鉄蕉会亀田総合病院救命救急センター
  • 葛西 猛
    医療法人鉄蕉会亀田総合病院救命救急センター
  • 伊藤 憲佐
    医療法人鉄蕉会亀田総合病院救命救急センター
  • 大橋 正樹
    医療法人鉄蕉会亀田総合病院救命救急センター
  • 中井 智子
    医療法人鉄蕉会亀田総合病院救命救急センター
  • 伊藤 太一
    医療法人鉄蕉会亀田総合病院救命救急センター

書誌事項

タイトル別名
  • Serological and epidemiological study of tsutsugamushi disease in the southern part of Chiba Prefecture

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抄録

【背景】ツツガムシ病はツツガムシによって媒介されるOrientia Tsutsugamushi(以下O.t.)が感染して発症するリケッチア感染症である。日本でO.t.を媒介するツツガムシはタテツツガムシ,フトゲツツガムシ,アカツツガムシの3種である。千葉県で発生しているツツガムシ病は主としてタテツツガムシによるものと推定されていたが,重症化しやすいフトゲツツガムシによる感染が存在する可能性も示唆されていた。【目的】今回の研究の目的は当院の医療圏である房総半島南部で発生したツツガムシ病の血清学的臨床学的疫学調査によってフトゲツツガムシによる感染の頻度を明らかにすることである。【方法】2000年1月1日から2009年12月31日の間に当院を受診し,血清学的検査によってツツガムシ病と診断された患者の診療録をもとに,病原体血清型の種類,頻度,発生時期,臨床経過についての疫学調査を行った。確定診断は間接蛍光抗体法によるKarp,Kato,Gilliam型IgMおよびIgG抗体の検出を用い,陽性症例に対してIgMまたはIgG抗体価が最も上昇している型を記録し,同等の上昇を認めた場合は全て記録した。【結果】ツツガムシ病と診断された症例は90例であり,うち43例(47.8%)は入院加療を要した(平均入院日数8.3日)。これらの血清型は,Gilliam型55例,Karp型14例,Kato型17例,2つ以上の型が上昇している例が4例あった。発生は秋から冬に集中していたが,数例春と夏の発症例も認めた。フトゲツツガムシはGilliam型とKarp型を媒介することが知られているが,Gilliam型はタテツツガムシが媒介するKawasaki型と交叉反応があり,タテツツガムシによる感染の可能性がある。一方,Karp型14例はフトゲツツガムシによる感染と考えられる。【結論】房総半島南部で発生するツツガムシ病のなかには,フトゲツツガムシが関与している症例が存在しており,早期から適切な治療を要する。

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参考文献 (34)*注記

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