塩溶液法による繭の貯蔵と繰糸に関する研究

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タイトル別名
  • Study on the silk reeling from flesh cocoon by the "salt solution method"
  • シオ ヨウエキホウ ニ ヨル マユ ノ チョゾウ ト ソウシ ニ カンスル ケンキュウ

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抄録

従来の生糸生産方法(乾繭の繰糸方法)では,多量のエネルギーが必要である。本研究の目的は,「省エネルギーかつ環境に優しく,繭糸本来の特性を保持した生糸を繰糸する方法」を見出すことである。上記目的に適合する方法として,「塩溶液法」を見出した。本方法は生繭を塩溶液(濃度飽和)に,30℃~40℃で30日以上浸漬すれば,室温(2℃~30℃)の水で繰糸可能な方法である。「塩溶液法」生糸と「生繭繰糸法」および「塩蔵法」により得た生糸との力学的性質を比較検討した結果,「塩溶液法」生糸の強伸度曲線は従来の生糸の曲線とは明らかに相違することが分かった。「塩溶液法生糸」は膠着していないと考えられる。セリシンを多く含んだ繭糸一本からなる生糸と考えられる。特徴ある生糸の生産法としての可能性が分かった。また実験結果および文献から,「塩溶液法」による繰糸機構を考察し,塩溶液は繭を構成する繭糸間の水素結合を切断し,繰糸可能にするものと考察した。「塩溶液法」で作製された生糸の触感は,極めて柔らかく多くの空気を含んだ状態と考えられる。繭糸本来の特性に近いかなどは,今後の検討課題である。

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参考文献 (16)*注記

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