腎移植後再発IgA腎症に対する口蓋扁桃摘出術の検討

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  • Tonsillectomy in Recurrent IgA Nephropathy after Renal Transplantation
  • ジンイショク ゴ サイハツ IgAジンショウ ニ タイスル コウガイ ヘントウ テキシュツジュツ ノ ケントウ

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抄録

早期のIgA腎症における口蓋扁桃摘出術 (扁摘) の有用性はこれまで多く報告されているが, 生体腎移植後にIgA腎症が再発した場合の治療法はいまだ確立されていない. 近年, 腎移植後の再発例に対しても扁摘が有用であったという報告がなされている.<br>当院では2008年3月~2010年3月の約2年間に13例の腎移植後再発IgA腎症の扁摘を施行した. 対象13例の内訳は, 平均年齢44.8歳 (29歳~67歳), 移植後平均年数6年2カ月 (1年3カ月~15年) であった. 口蓋扁桃の形状は埋没型やMackenzie分類I度肥大が多く, 膿栓は術中所見で12例において認めた. 合併症は, 1例で術後1週間に出血を認めたが, 保存的治療で止血した. 術後ステロイドパルスは1例において追加した. 術後観察期間は1カ月から1年11カ月であり, 血清クレアチニン値は9例で改善を認め, 特に腎障害程度が軽度の症例では有意に改善していた. また, 尿蛋白も改善傾向であった. 生体腎移植例では免疫抑制剤やステロイド剤を継続して内服する必要があるが, 慎重な周術期管理を行い, 重篤な合併症を認めなかった.<br>IgA腎症に対する扁摘は早期であるほど効果が高いとされる. 腎移植後再発IgA腎症に対しても, 早期に扁摘を行うことで, 腎症の進行や移植腎喪失の予防となり得ることが示唆される.

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