震災がもたらした精神医学的問題と総合病院精神医療

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抄録

平成23年3月11日に発生した東日本大震災は,地震の規模の大きさだけでなく,太平洋沿岸広域にわたる津波被害,さらには原子力発電所問題も併発し,多方面にわたる複雑で甚大な被害をもたらした。復興・復旧に予想以上の時間がかかり,いわゆる災害「急性期」状態が長期化し,被災者の多くは,多重で複雑な喪失体験を経験している。この未曾有の大震災に対する中長期的な支援について検討される時期に入り,我が国の精神医学的支援の果たす役割が改めて注目されている。そのなかでも特に,平時からの連携体制の構築やチーム医療の重要性,さらには被災地域の総合病院精神医学の過疎も指摘されている。このような状況のなか,第24回日本総合病院精神医学会総会では,シンポジウム「災害被災者の抱える問題と支援について」が開催された。通常では,特集記事として数カ月後の本誌に掲載されることになるが,その緊急性を鑑み,その内容をいち早く,学会の会員の先生方に伝えるために編集委員会主催の座談会が総会中に企画され,シンポジウムの座長と演者の先生方にご参集いただき,学会誌上で再現することにした。

収録刊行物

  • 総合病院精神医学

    総合病院精神医学 23 (2), 129-142, 2011

    一般社団法人 日本総合病院精神医学会

被引用文献 (1)*注記

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