成人の前仙骨部に発生した類皮嚢腫(epidermoid cyst)の2例

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タイトル別名
  • A Report of Two Cases of Presacral Epidermoid Cyst in Adults

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抄録

症例は婦人科癌検診で骨盤腔内腫瘤を指摘され,当院受診した27歳と28歳の女性である.MRI検査では,それぞれ直腸左側に5cm大と6cm大の病変を認め,T2強調像で境界明瞭な高信号を呈する嚢胞性腫瘤を認めた.CT検査では,辺縁に被膜様濃染を認め,明らかな実質構造は認めなかった.2例とも前仙骨部嚢胞性腫瘍と診断し,尾骨合併切除による経仙骨的アプローチにより完全切除を施行した.病理組織学的検査で嚢胞壁内面に重層扁平上皮を認めたが,皮膚付属器構造を認めず類皮嚢腫と診断した.術後は,排便機能障害や再発を認めずに経過している.<BR>前仙骨部は胎児性組織の遺残物より種々の腫瘤が出現する.胎生期の発達異常に伴うものはdevelopmental cystと言われ,dermoid cyst,epidermoid cyst,tail gut cystに分類される.これらは希ではあるが悪性化の報告もあり,腫瘤の外科的完全切除が望ましい.しかし,本邦での術式の選択基準は確立されておらず,今後更なる検討が必要である.

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参考文献 (25)*注記

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