静脈血栓が原因と考えられた漏出性胆汁性腹膜炎の1例

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タイトル別名
  • Bile leakage through the gallbladder due to venous thrombosis results in a case of biliary peritonitis

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抄録

要旨:症例は85歳,女性.右季肋部痛の精査目的に入院となった.入院翌日に腹痛が増強し,CTにて腹水を認めたため穿刺したところ胆汁様腹水が同定され,十二指腸または胆嚢穿孔を疑い緊急腹腔鏡検査を行った.胆嚢に炎症所見や明らかな穿孔はないが,底部からの胆汁漏出が確認され,胆汁性腹膜炎と判断し腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った.病理所見でも胆嚢に穿孔はなく,粘膜面も正常で炎症は認められず漏出性胆汁性腹膜炎と診断した.漿膜下層の静脈枝に血栓を認め,それによる虚血が原因のひとつと考えられた.漏出性胆汁性腹膜炎は本邦で13例の報告があり全て開腹下での胆嚢摘出術が行われている.本症の症状の原因は非感染性胆汁であり予後も良く,腹腔鏡治療の適応があると思われる.本症は診断が困難な場合もあるが急性腹症のひとつとして念頭におき適切な術式を選択すべきであると考えられた.<br>

収録刊行物

  • 胆道

    胆道 25 (1), 99-106, 2011

    日本胆道学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (19)*注記

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