予後不良であった原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫の2例

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タイトル別名
  • Two cases of primary cutaneous anaplastic large cell lymphoma with poor prognosis

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抄録

原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫は,予後良好であり,2008年のWHO分類でも5年生存率は95%以上とされる。しかし,我々は,急速に進行し,放射線療法あるいは多剤化学療法に抵抗性を示し死の転帰をとった原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫の2症例を経験した。症例1:61歳女性。左前胸部および,左腋窩に皮膚・皮下腫瘤を生じた。放射線照射を行い完全寛解に至ったが,間もなく再発し急速に増大した。メトトレキサート単独療法,用量調整EPOCH療法,DeVIC 療法,放射線追加照射にも反応せず,発症から18ヵ月,治療開始後11ヵ月で死亡した。症例2:93歳女性。右足底に皮膚潰瘍を生じた。原発巣の姑息的切除後に放射線照射を開始した。発症から11ヵ月,治療開始後2ヵ月で肺転移を来して死亡した。いずれの症例も発症初期に皮下の深部に腫瘍性病変が存在したと推測され,初期の不十分な皮膚生検のために検体に腫瘍細胞が含まれなかったために,診断が遅れた。しかし,単純に診断の遅れが予後不良に至ったのではなく,自験例は当初から致死的な型であった可能性も残る。実際,本邦では予後不良な原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫の報告が散見される。

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