Trichoderma reesei,Aspergilus awamoriおよびSaccharomyces cerevisiaeを用いたSSFによるサゴヤシでん粉抽出残渣からのバイオエタノール生成に関する基礎的研究

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タイトル別名
  • Basic Study on Bioethanol Production from Sago Extraction Residue as Simultaneous Saccharifi cation and Fermentation using Aspergillus awamori, Trichoderma reesei and Saccharomyces cerevisiae

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抄録

インドネシアの1 900 万ha におよぶ酸性度の高い泥炭地においては適作の考えよりサゴヤシが多く栽培されている。一方,近年の国際的な石油価格の上昇とともにサゴヤシからでん粉を抽出し,それを素材としたバイオエタノール生成プロジェクトが進められている。しかし,インドネシアにおけるサゴヤシからのでん粉抽出効率は十分ではなく,1 kg のでん粉を抽出するために約31%のでん粉と約40%の繊維が混在した抽出残渣が乾物で約0.6 kg 発生し,環境汚染を引き起こしている。 本研究ではこのサゴヤシでん粉抽出残渣よりさらにバイオエタノールを効率よく生成する技術開発に向けて,サゴヤシでん粉抽出残渣の糖化とアルコール発酵を同時に行う平行複発酵技術(SSF)の確立に向けた基礎実験を行った。今回の基礎実験においては,でん粉抽出残渣に含まれるセルロースの分解の促進を目的にセルラーゼの高生産菌であるTrichoderma reesei,およびでん粉のブドウ糖への分解を目的にAspergillus awamori,さらにアルコール発酵のための酵母としてSaccharomyces cerevisiae 等の菌を用いて同時糖化発酵を試みた。培養槽中のでん粉抽出残渣濃度が50 g/l の条件の下,Aspergillus awamori とSaccharomyces cerevisiae の共培養およびAspergillus awamori,Trichoderma reesei とSaccharomyces cerevisiae の共培養よるエタノール生成は各々10.9 g/l および10.4 g/l であった。でん粉抽出残渣よりさらに抽出されたでん粉の約88%がエタノール発酵に利用可能であった。一方,Trichoderma reesei によって生成したセルラーゼの活性が低いことから,エタノールに変換された繊維の割合は約5%のみであった。しかし,実験結果を総合的に検討するとでん粉抽出残渣は良好な発酵基質であると考えられた。

収録刊行物

  • 農業施設

    農業施設 42 (4), 171-177, 2012

    農業施設学会

参考文献 (25)*注記

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