イオンクロマトグラフィーによる海水中の亜硝酸イオン,硝酸イオン,アンモニウムイオンの選択的同時定量

  • 大国 英人
    近畿大学大学院システム工学研究科生物化学システムクラスタ
  • 田中 雅人
    近畿大学大学院システム工学研究科生物化学システムクラスタ
  • 兼貞 晃
    近畿大学工学部生物化学工学科
  • 藤本 修平
    近畿大学工学部生物化学工学科
  • 廣川 健
    広島大学大学院工学研究科応用化学専攻
  • 伊藤 一明
    近畿大学大学院システム工学研究科生物化学システムクラスタ 近畿大学工学部生物化学工学科

書誌事項

タイトル別名
  • Simultaneous and Selective Determination of Nitrite, Nitrate, and Ammonium Ions in Seawater Samples by Ion Chromatography
  • イオンクロマトグラフィー ニ ヨル カイスイチュウ ノ アショウサン イオン,ショウサン イオン,アンモニウムイオン ノ センタクテキ ドウジ テイリョウ

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抄録

イオンクロマトグラフィー(IC)を用いて,海水中の無機態窒素(亜硝酸イオン,硝酸イオン,アンモニウムイオン)の選択的同時定量を検討した.亜硝酸イオン,硝酸イオンは,分離カラムとしてジラウリルジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)を平衡吸着させたシリカ一体モノリス型ODSカラム,溶離液として0.4 M塩化カリウム+5 mMリン酸緩衝液(pH 5.0)を用いて分離された後,海水中に存在する共存イオンの妨害もなく測定波長225 nmで直接検出された.一方,アンモニウムイオンは,ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと1-ナフトールを用いたインドフェノール法によるポストカラム反応を用いて測定波長710 nmで検出された.海水中に存在する陽イオン(主にマグネシウム,カルシウムイオン)によるアンモニウムイオン測定の妨害を抑えるために,陽イオン交換カラムと添加剤(EDTA)を用いた.こうして,海水中に存在する微量の無機態窒素3成分の直接測定を初めて可能とした.35‰人工海水中での各イオンの検量線は,0~5 mg L−1の範囲で良好な直線性(R2=0.999)を示した.亜硝酸イオン,硝酸イオン,アンモニウムイオンの検出限界値(S/N=3)は,それぞれ0.8 μg L−1,1.8 μg L−1,3.6 μg L−1であった.繰り返し精度(各イオン濃度1.0 mg L−1n=5)は,0.55% 以下(保持時間),1.80% 以下(ピーク面積),1.75% 以下(ピーク高)であった.本法を海水(港湾水・内湾水)の直接注入による各イオンの同時定量に適用した.その添加回収率は91~107% であった.

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 61 (8), 685-690, 2012

    公益社団法人 日本分析化学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (21)*注記

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