筋層非浸潤性膀胱癌における経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)後塩酸ピラルビシン(THP)3日間連続膀胱内注入療法の膀胱内再発に関する検討

書誌事項

タイトル別名
  • THE INTRAVESICAL RECURRENCE AFTER 3-DAY CONSECUTIVE INTRAVESICAL INSTILLATION OF PIRARUBICINE HYDROCHLORIDE (THP) FOLLOWING TRANSURETHRAL RESECTION OF BLADDER TUMOR (TURBT) FOR NON-MUSCLE-INVASIVE BLADDER CANCER
  • キンソウ ヒシンジュンセイ ボウコウガン ニ オケル ケイ ニョウドウテキ ボウコウ シュヨウ セツジョジュツ(TURBT)アト エンサン ピラルビシン(THP)3ニチカン レンゾク ボウコウ ナイ チュウニュウ リョウホウ ノ ボウコウ ナイ サイハツ ニ カンスル ケントウ

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抄録

(目的) 筋層非浸潤性膀胱癌と診断され,TURBT後塩酸ピラルビシン(THP)の膀胱内注入を術当日から3日間連続施行した症例を対象として,膀胱内非再発率,再発関連因子などを後ろ向きに分析し今後の治療に役立てることを目的とした. (対象と方法) 1995年3月から2009年4月の間に,膀胱CISの併発がなくかつ上部尿路上皮癌の合併や既往歴のない初発未治療筋層非浸潤性膀胱癌と診断され,TURBT後塩酸ピラルビシン(THP)30 mg/注射用水40 mlの膀胱内注入を術当日,翌日,翌々日の3日間連続施行した184症例を対象とした.腫瘍の数,腫瘍サイズ,異型度,T因子と再発との関係を単変量および多変量解析で検討した.経過観察期間中央値は55.1カ月である. (結果) 症例の大部分がEAUガイドラインによる再発リスク分類の中リスク例に相当した.非再発率は2相性に変化し,治療後1年半から2年間は急峻に低下し,その後はなだらかな低下を示した.1, 2, 3, 5年非再発率は,82.7%,75.3%,72.3%,67.4%であった.日本版再発リスク分類の中リスク群から,Taかつlow gradeかつ腫瘍数2~4個を低中リスク群として3年非再発率を求めると85.1%であった.同様に,EAUガイドラインを参考とした分類で,中リスク群を再発スコア1~3と4~9の2群に分けると,再発スコア1~3の3年非再発率は,85.3%であった.腫瘍の数,腫瘍サイズ,異型度,T因子と再発との関係を調べると,単変量解析では腫瘍の数,異型度,T因子が再発と関連していた(p<0.05).多変量解析では腫瘍の数とT因子が再発と関連していた(p<0.05). (結論) 筋層非浸潤性膀胱癌に対する治療においては,再発スコア値の低い中リスク非G3例やCIS非併発例に対するTURBT後THP30 mg 3日間連続膀注療法は,アジュバント療法の一つとして考慮してもよい意味のある方法と思われた.しかし,再発スコア値の高い中リスク例に対しては,リスクに応じた抗癌剤の維持膀注療法ないしBCG膀注療法等の追加治療を考慮するのが良いと思われた.

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