重度脳性麻痺児の骨代謝に対するLLLT の影響

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  • The Effect of LLLT on Bone Metabolism in Children with Severe Cerebral Palsy

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抄録

重度脳性麻痺児(以下,重度児)の骨折頻度は平均1%(0.2〜2.0%)と言われ病的骨折を生じやすいことが知られており,難治性の骨萎縮がみられる.一方,骨密度や骨代謝に対するlow level laser therapy(LLLT)の影響については充分な検討がなされていない.近年,骨密度や骨代謝マーカーなどの検査が可能となり,重度児4例に対してLLLT を1 日16 分,平均22 日間実施し骨密度,骨代謝マーカーの変化を検討した. 骨形成マーカーである骨性アルカリフォスファターゼ(B-ALP)は4 例中3 例で照射1ヵ月後に増加し,2ヵ月後にはほぼ照射前に戻り,2 年後も変化はなかった.増加しなかった1 例は照射前からB-ALP が低値の例であった.骨吸収マーカーである尿Type Ⅰ collagen cross-linked N-telopeptide( NTX)は4 例中3 例で照射後低下し,10ヵ月後も持続したが, 2 年後には低下3 例中2 例で照射前の値に戻った.血清NTX は4 例中3 例で照射後低下傾向がみられた.尿中NTX/Crea ,Deoxy-Pyridinoline (DPd),DPd/Crea(DPd/Crea)も4 例中3 例に照射後低下がみられ,PTHintact は5 ヵ月後全例で低下傾向がみられ,4 例中3 例で2 年後も同様の傾向がみられた.照射後の増加および低下は,いずれも正常範囲を超えて変化することはなかった.DIP法による中手骨の骨密度は照射後4例中3例に一時的な増加傾向はみられたが,明らかな変化はみられなかった.以上の結果からLLLT により一時的に骨形成は増加し,骨吸収は抑制され,VD 不足による二次性副甲状腺機能亢進状態が改善され正常な状態に近づく傾向がみられ,骨吸収が亢進しているNTX 高値例とVD 不足によるPTH 高値例では明らかな変化があり,LLLT の骨代謝への新たな作用として注目された.

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