腹腔鏡下胆嚢摘出術における肝床部への術後腸管癒着防止フィルム貼付手技の工夫

書誌事項

タイトル別名
  • Technique of Laparoscipic Placement of Hyaluronate-Carboxymethylcellulose in Patients Following Laparoscopic Cholecystectomy
  • フククウキョウカ タンノウ テキシュツジュツ ニオケル カンショウブ エノ ジュツゴ チョウカン ユチャク ボウシ フィルム チョウフ シュギ ノ クフウ

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抄録

【背景】腹腔鏡下胆嚢摘出術後の患者に対して,新たに腹腔鏡手術を施行する機会に遭遇する.この際,前回手術による肝床部への腸管等の癒着のため,手術操作に難渋することがある.開腹術においては癒着を防止する方法として,癒着防止吸収性バリア(セプラフィルムTM)の貼付が広く行われているが,腹腔鏡手術下での貼付は困難である.今回我々は,胆嚢摘出術の際に用いたEndopouch RetrieverTMの再利用により,この貼付が容易にできる方法を考案したので紹介する.【方法】1.胆嚢を摘出する際に用いたEndopouch RetrieverTMを分解し,長円筒形の外筒を使用する.2.セプラフィルムTMをホルダーごと8分割し,それぞれを丸めて輪ゴムで留める.3.分解したEndopouch RetrieverTMの外筒を12mmポートより挿入し,ホルダーを除去したセプラフィルムTM片を,巻いた状態で差し込む.4.10mmのCherry DissectorTMをプッシャーとして,セプラフィルムTMを押し込み,鏡視下にて貼付する場所へ誘導する.5.貼付場所にてCherry DissectorTMを押し出し,セプラフィルムTMを展開する.【考察】腹腔鏡下にセプラフィルムTMを貼付する方法はいくつか散見されるが,いずれの方法も途中でセプラフィルムTMを鉗子で把持する操作があるため,術者に一定の技量が無ければ破損することなく貼付することは困難であると思われる.今回我々が紹介した方法は,鉗子での把持を必要とすることなく,目的場所への貼付が可能である.今後は,複数回の腹腔鏡手術を施行される患者の割合が増加すると思われ,腹腔鏡下胆嚢摘出術における本手技は有用であると考える.

収録刊行物

  • 山口医学

    山口医学 59 (4), 179-182, 2010

    山口大学医学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (5)*注記

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