A群溶連菌感染を伴った降下性壊死性縦隔炎の1例

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タイトル別名
  • A Case of Descending Necrotizing Mediastinitis Due to α Streptococcus (GroupA)

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抄録

降下性壊死性縦隔炎は急性縦隔炎の原因としてはまれで,縦隔炎の中でも特に重篤で致死率の高い(約40%)疾患である。症例は71歳の女性で,肩背部痛と30mL程の吐血にて救急搬送された。入院時の胸部X線写真撮影で縦隔陰影の拡大と胸腹部単純CTにて頸部から縦隔にかけて膿瘍形成がみられた。呼吸困難を認めたため,人工呼吸管理を行った上で,頸部の切開排膿と胸腔ドレナージを施行したところ,多量の膿汁が排出された。培養検査でA群溶連菌が検出され,化学療法やドレナージなど集学的治療を施すも感染症コントロールが困難であり,入院11日目に多臓器不全で死亡した。A群溶連菌は人喰いバクテリアとしても知られ,急速かつ重篤な感染症を引き起こす。本症は呼吸状態と全身状態が不良であったため,経皮的ドレナージを選択したが,結果として救命し得なかった。降下性壊死性縦隔炎に対して,早期の開胸ドレナージの適応を考慮するべきなのかを文献的に検討した。

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参考文献 (19)*注記

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