同時性卵巣転移を有した大腸SM癌の1例

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  • Early Colon Cancer with a Metastatic Lesion in the Ovaries: a Case Report

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抄録

症例は48歳の閉経女性.腹部腫瘤,下腹部痛を自覚し受診.S状結腸に1cm大のIsp腫瘤を認め,生検の結果は腺癌であった.腹部CTでは両側卵巣に巨大な多房性嚢胞性腫瘤,肝にも同様の腫瘤を認めた.血清CEAは高値を示した.開腹したところ,大腸原発巣近傍腹膜に播種病変を認めた.術中迅速病理検査では,肝臓腫瘍,卵巣腫瘍はともに腺癌であり,大腸癌転移と診断した.S状結腸切除,D3リンパ節郭清,単純子宮全摘,両側付属器切除,播種病変切除を行った.術後診断は大腸SM癌であった.その後,化学療法,肝部分切除を行ったが,術後1年11ヵ月後に癌死した.大腸癌卵巣転移は稀ではなく,その予後は不良とされる.ただし,その大腸原発巣はほとんどが進行癌である.しかし,大腸早期癌であっても卵巣転移する可能性はあり,腹膜転移所見や卵巣の形態異常などを認めたときには,両側卵巣切除を考慮する必要があると考えられた.

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参考文献 (26)*注記

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