著明な高血糖を呈さず甲状腺中毒症を契機に糖尿病ケトアシドーシスを発症した1A型糖尿病の2症例

  • 光井 絵理
    大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学
  • 山本 恒彦
    大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学
  • 安田 哲行
    大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学
  • 宮下 和幸
    大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学
  • 藤澤 慶子
    大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学
  • 藤木 典隆
    大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学
  • 黒田 暁生
    大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学
  • 金藤 秀明
    大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学
  • 下村 伊一郎
    大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学

書誌事項

タイトル別名
  • Two Cases of Type 1A Diabetes Associated with Diabetic Ketoacidosis and Thyrotoxicosis without Severe Hyperglycemia
  • チョメイ ナ コウケットウ オ テイサズ コウジョウセン チュウドクショウ オ ケイキ ニ トウニョウビョウ ケトアシドーシス オ ハッショウ シタ 1Aガタ トウニョウビョウ ノ 2 ショウレイ

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抄録

症例(1)は33歳,女性.口渇,多飲・多尿,体重減少を主訴に当院を受診し,DKAの診断にて緊急入院となったが,血糖値は243 mg/dlと著明な高血糖は認めなかった.症例(2)は29歳,女性.1A型糖尿病にて通院加療しており,第1子を出産後4ヶ月で微熱,嘔吐が出現し,経口摂取不能となったため当院を受診し,DKAの診断にて緊急入院となったが,血糖値は281 mg/dlと著明な高血糖は認めなかった.両症例とも甲状腺腫大や眼球突出など自己免疫性甲状腺疾患を疑わせる他覚所見は認めなかったが,低脂血症や脱水にもかかわらず血清クレアチニンが低値であることより甲状腺中毒症を疑った.実際に,症例(1)は無痛性甲状腺炎,症例(2)はバセドウ病による甲状腺中毒症を併発しており,DKAの発症に大きく寄与していたと考えられた.1A型糖尿病には,自己免疫性甲状腺疾患の合併率が高いことが知られている.高血糖が顕著ではないDKAの場合,甲状腺中毒症の合併を念頭に置く必要があると考えられた.<br>

収録刊行物

  • 糖尿病

    糖尿病 54 (12), 916-921, 2011

    一般社団法人 日本糖尿病学会

参考文献 (18)*注記

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