Hellman歯年齢IIA期，IIC期，IIIA期の唇顎口蓋裂症例における急速拡大装置の治療効果

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  • The Effect of Rapid Maxillary Expansion in IIA and IIC Hellman's Dental Stages for Unilateral Cleft Lip and Palate Patients

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抄録

乳歯列期，混合歯列前期に適用した急速拡大装置の治療効果を評価するため，初診時と拡大後の歯列石膏模型と正面頭部X線規格写真（正面セファロ）を用い，歯列弓幅径と顎顔面部の変化を検討した。<br>対象は愛知学院大学歯学部矯正歯科を受診したHellman歯年齢IIA～IIIA期の片側性唇顎口蓋裂患者13例（男児8名，女児5名，平均年齢7.0歳）であり，以下の計測を行った。<br>1．模型にて拡大前後の上顎乳犬歯（C），第一乳臼歯（D），第二乳臼歯（E）間の歯列弓幅径を測定した。<br>2．正面セファロにおいて篩骨鶏冠頸部を通り左右の頬骨前頭縫合内側点（Z）を結ぶ線に対する垂線を顔面正中線（Mid-line）と規定し，Mid-lineと以下の計測点間距離を測定した。左右に計測点のあるものは拡大前後でそれぞれ裂側／健側比を算出した。<br>・左右C，D，E尖頭・咬頭頂<br>・左右Jugal process（J）<br>・上下顎健側中切歯近心接触点（U1, L1Mid）<br>・左右骨鼻腔最外側点（NC）<br>・Anterior nasal spine（ANS）<br>・左右頬骨弓最外側点（Zy）<br>・Menton（Me）<br>・左右Z<br>拡大前後の平均値をt検定にて比較し，以下の結果を得た。<br>1．拡大ネジ6mmの拡大量に対しての拡大率は約60～70%であったものの2週間で平均3.9～4.5mmの拡大量を得る事ができた。<br>2．初診時においてMid-lineと裂側CおよびD間は健側に比べ有意に狭窄していたが，急速拡大後は歯列対称性に改善傾向が認められた。<br>3．U1Mid，L1Mid， ANS，Meは急速拡大後にMid-lineに対する偏位が有意に悪化する事はなかった。<br>4．Mid-lineとJ， NC， Zy，Zの裂側／健側距離比は初診時，急速拡大後とも1に近似した値であった。<br>以上より，唇顎口蓋裂患者に対する乳歯列，咬合歯列前期における急速拡大装置による歯列の拡大は有用であると思われた。

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