軟骨形成過程におけるギャップ結合分子パネキシン3の役割

  • 岩本 勉
    東北大学大学院歯学研究科口腔保健発育学講座小児発達歯科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Role of Pannexin 3, a Gap Junction Protein, in Cartilage Development

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抄録

小児期の軟骨形成は,その後の骨格形成とともに,こどもの成長・発育において,非常に重要な要素である。多くの骨は,胎生期から思春期において,最初に作られた硝子軟骨による足場を基に,骨組織に置換する内軟骨性骨化という過程を経ることによって作られる。この現象を細胞レベルで観察すると,軟骨形成を司る軟骨細胞や,肥大化し細胞死した軟骨細胞を処理する破骨細胞,そして,骨基質を分泌し骨形成を司る骨芽細胞らが中心的な役割を担っており,相互に巧妙なバランスを保ちながら骨代謝に関わっている。近年の分子生物学的解析手法の発達により,それぞれ個々の細胞の分化制御機構が急速に明らかにされてきている。これまでに軟骨細胞の分化過程において,ギャップ結合分子のパネキシン3 が前肥大軟骨細胞に発現し,細胞内のATP レベルをコントロールするヘミチャネルとして,軟骨細胞の増殖と分化機構において重要な機能を担っていることを明らかにしてきた。本稿では,成長・発育に関わる内軟骨性骨化機構における軟骨の成熟過程とその分化過程おけるギャップ結合分子パネキシン3 の発現と機能に焦点をあて,その役割について考察する。

収録刊行物

  • 小児歯科学雑誌

    小児歯科学雑誌 50 (3), 170-174, 2012

    一般財団法人 日本小児歯科学会

参考文献 (12)*注記

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