バイオフィルム形成における <i>Streptococcus mutans recA </i>遺伝子の機能解析

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タイトル別名
  • Molecular Analysis of <i>recA </i>Gene of <i>Streptococcus mutans </i>in Biofilm Formation

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抄録

齲蝕病原細菌Streptococcus mutans は,口腔内における環境の変化や抗菌物質の侵入といった環境ストレスに対応するための様々なタンパクを保有しており,これらの発現はシグナル伝達システムによってコントロールされている。Recombinase A(RecA)は,シグナル伝達システムに関与するタンパクとして報告されており,特に耐酸性に重要な役割を持つ可能性が示唆されている。本研究では,S. mutans の口腔バイオフィルムの形成におけるRecA の機能を検討した。はじめにRecA を欠失させたS. mutans の変異株を作製し,RecA の生物学的特性について調べた。RecA 欠失変異株は,培地をpH 5.0 に調整し培養したところ増殖速度が親株と比較して,遅延していた。また,RecA 欠失変異株によって形成されたバイオフィルムは,親株のものと比較すると死菌体が多く認められ,形成量自体も低下していた。さらに,スクロース存在下でバイオフィルムを形成させた場合,親株では巨大な凝集塊が形成されたが,RecA 欠失変異株では認められなかった。以上の結果は,S. mutans においてRecA タンパクが低pH のようなストレス存在下で誘導され,細菌の生育に重要な役割を担っていることを示し,バイオフィルム形成における主要なタンパクであるGTF をコードするgtf 遺伝子発現に関与している可能性を示している。

収録刊行物

  • 小児歯科学雑誌

    小児歯科学雑誌 50 (3), 182-187, 2012

    一般財団法人 日本小児歯科学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (16)*注記

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