テフラ編年学の多様な役割 : フィリピン,中国,韓国,日本,アリューシャン列島の研究例

  • 奥野 充
    福岡大学理学部地球圏科学科(地球科学分野) 福岡大学産学官連携研究機関 国際火山噴火史情報研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Various methods in tephrochronology : Case studies in the Philippines, China, Korea, Japan, and the Aleutian Islands
  • テフラヘンネンガク ノ タヨウ ナ ヤクワリ : フィリピン,チュウゴク,カンコク,ニホン,アリューシャン レットウ ノ ケンキュウレイ

この論文をさがす

抄録

テフラは,地層中の時間基準となり,さまざまなクロスチェックに役立つ.本論では,環太平洋におけるいくつかの研究例を紹介し,テフラ編年学の多様な役割について述べる.白頭山苫小牧テフラは, 14Cウイグルマッチングと年縞編年をクロスチェックした良い例である.琵琶湖や水月湖などのように湖成層中のテフラは,年縞編年と14C年代の比較から正確な暦年を与えることができ,堆積速度の見積もりにも役立つ.乾陸上でのテフラ層は,ローム/土壌層などの連続的な集積によって保存され,アリューシャン列島では完新世に限られる.熱帯のフィリピンでは,風化速度が速いためにテフラ層として保存されにくいが,イロシン火砕流のco-ignimbrite ashは,堆積直後に降下スコリアで覆われたため,保存された.種子島では,種IIと種IVテフラの14C年代との比較から,ローム層の堆積速度は一定ではないと考えられる.潜在テフラは,層序の精密化に貢献するが,鬱陵隠岐テフラが鬱陵島のU-4に対比できる例が示すように,年代・層序とのクロスチェックが必要である.

収録刊行物

  • 第四紀研究

    第四紀研究 51 (4), 275-284, 2012

    日本第四紀学会

参考文献 (92)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ