農薬中毒臨床例全国調査 2007~09年度

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タイトル別名
  • Hospital-based Survey of Clinical Cases of Pesticide Poisoning in Japan 2007-2009
  • ノウヤク チュウドク リンショウレイ ゼンコク チョウサ 2007~09ネンド

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抄録

農薬は第二次大戦後急速に使用量が増加し,農薬中毒が農村医学の主たる課題になって久しい。本学会はこの課題に長年取り組んできており,特別研究プロジェクト・農薬中毒部会では全国の関連医療施設の協力のもと臨床例調査を行なってきたので,2007~09年分について報告する。<br> 農薬中毒 (障害) の症例が,48施設から212例報告された。性別では,男が54%とやや多く,世代別では,60歳代 (23%),70歳代 (22%) が最も多かった。中毒に関わる農薬曝露状況は,自殺が77%を占め,散布中等 (16%),誤飲誤食 (4%) が続いていた。月別に見ると,5月,8月が各12%で最も多かった。<br> 診断名としては,急性中毒 (90%) が大部分で,皮膚障害 (3%),眼障害 (2%) もあった。<br> 原因農薬としては,有機リン系殺虫剤(32%)が最も多く,アミノ酸系除草剤 (22%),ビピリジリウム系除草剤 (10%) が続いていた。成分別にみると,グリホサート (32例) が多く,スミチオン (25例),パラコート (21例) が続いていた。<br> 死亡例が36例報告された。うち16例がパラコート剤によるものであり,9例が有機リン剤によるものであった。パラコート剤は,致死率,死亡数において,他の農薬成分を大きく引き離していた。本剤の流通規制の強化の必要性を改めて認識させる結果であった。

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参考文献 (27)*注記

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