大腿ヘルニア偽還納の1例

  • 長谷川 芙美
    自治医科大学さいたま医療センター一般・消化器外科
  • 遠山 信幸
    自治医科大学さいたま医療センター一般・消化器外科
  • 小西 文雄
    自治医科大学さいたま医療センター一般・消化器外科

書誌事項

タイトル別名
  • A case of reduction en-masse of a femoral hernia
  • 症例 大腿ヘルニア偽還納の1例
  • ショウレイ ダイタイ ヘルニア ギカンノウ ノ 1レイ

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抄録

症例は100歳,女性.腹痛を主訴に近医を受診し,鼠径ヘルニア嵌頓の診断で用手整復された.その後腸閉塞が出現し,CT検査で大腿ヘルニア嵌頓と診断され,手術目的に転院となった.右鼠径部の圧痛と腹部膨隆を認めたが,鼠径部の膨隆はなく,腹膜刺激症状も見られなかった.当院のCT検査では,右鼠径部に閉塞機転はあるが,脱出腸管がはっきりしなかった.大腿動静脈の内側には液体の貯留を認めた.大腿ヘルニア嵌頓の疑いで緊急手術を行った.腸管を緩徐に整復したところ,小腸は大腿輪ではなく,腹膜前腔に陥入しており,肥厚した腹膜がヘルニア門となって,絞扼していたことが判明し,大腿ヘルニア偽還納と診断した.壊死腸管の切除とメッシュによるヘルニアの修復術を施行した.術後経過は良好であった.本邦で大腿ヘルニア偽還納の報告例はない.鼠径ヘルニア偽還納の症例をもとに,ヘルニア偽還納について若干の文献的考察を加えて報告する.

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被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (13)*注記

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